お知らせ TOPICS
たった1本の原木から始まった、じゃばらの物語

花粉の季節になると、「じゃばら」という名前を目にする機会が増えてきました。
でもこの果実、実はとても特別な生まれ方をしていることをご存じでしょうか。
じゃばらは、和歌山県の山あいにある北山村で見つかったたった1本の木から始まった柑橘です。
今回は、私たちが大切にしているじゃばらがどんな歴史をたどってきたのかを、少しだけお話ししたいと思います。
幻の果実は、ひとつの庭先から見つかった

今からおよそ半世紀ほど前。和歌山県北山村の福田家の庭先に、ひときわ酸味の強い柑橘の木が植えられていました。
見た目はみかんのよう。でも味はとても酸っぱく、香りも独特。
当時は 「へんなみかんだな」そんなふうに思われていたそうです。
ところが、この果実を料理や調味に使ってみると、ほかの柑橘にはない爽やかさがあり、少しずつ村の人たちの間で親しまれるようになっていきました。
この1本の木。それが、じゃばらの原木です。
「邪を払う」ほど酸っぱい?じゃばらという名前の由来

じゃばらという名前には、「邪(気)を払うほど酸っぱい」という言い伝えがあります。
強い酸味と香りから、昔は縁起のよい果実としてお正月料理や保存食にも使われてきました。
単なる柑橘ではなく、暮らしに寄り添う存在として北山村の中で受け継がれてきた果実だったのです。
専門家の調査で「世界に類のない新品種」と判明

昭和40年代になると、この果実に注目した研究者たちによって本格的な調査が行われるようになります。
調査の結果、じゃばらは、ゆずやかぼすとも異なる
世界的にも珍しい新品種の柑橘であることがわかりました。
のちに農林水産省にも品種として登録され、「じゃばら」という名前が正式に知られるようになっていきます。
全国に広がったじゃばら。そのルーツはすべて同じ
現在、じゃばらは和歌山県以外の地域でも栽培されています。
ですが、その多くは北山村の原木をもとに増やされたもの。
例えるなら、桜のソメイヨシノのように、同じ遺伝子を受け継いで広がっていった果実です。
つまり、全国のじゃばらのルーツはすべて北山村のあの1本の木につながっています。
北山村という場所が育てた果実

北山村は、三重県と奈良県に囲まれた和歌山県唯一の「飛び地の村」。
山に囲まれ、他の柑橘産地から物理的にも隔てられた環境は、じゃばらが独自の特徴を保つうえで大きな役割を果たしてきました。
村の人たちは、少しずつ栽培本数を増やしながら、じゃばらを村の特産品として育ててきました。
一朝一夕ではなく、長い時間をかけて積み重ねられた歩みです。
物語を知ると、選び方が変わる

じゃばらは、流行から生まれた果実ではありません。
偶然見つかり、大切に受け継がれ、研究され、そして今に続いている。
私たちが北山村のじゃばらを選んでいるのも、こうした背景があるからです。
次回は、じゃばらが花粉の季節に注目される理由のひとつ、「ナリルチン」という成分について、もう少し詳しくお話しします。